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【記憶に関する心理学】100冊読んだわたしが厳選した5つをわかりやすく解説

「記憶力が低いせいで仕事や勉強がうまくいかない」「どうすれば記憶力を高めることができるの?」「そもそも記憶とはどのようなメカニズムなのか?」

このような悩みや疑問を持っている方は多いと思います。

この記事では記憶力に関する心理学を、心理学に関する書籍を100冊以上読んだわたしが厳選したものを5つ紹介していきたいと思います。

1.感動を伴った経験が記憶力を高める

記憶が行われるとき、脳の中でなにが起きているのか?目や耳を通して入ってくる外界の刺激(情報)は神経細胞をつなげる役目をするシナプスを伝って大脳皮質の後頭野へと伝わり、大脳辺縁系にある海馬(かいば)に運ばれ記憶されます。

一方、喜怒哀楽などの感情や本能に関わる情報は大脳辺縁系視床下部(ししょうかぶ)にて感知されますが、その情報は大脳皮質を経由することなく直接海馬まで到達することが分かっています。そして、大脳皮質を経由する記憶よりも強烈な記憶として残るとされています。

 

なので記憶力を高めるには感動を伴った体験をすることが重要になります。

例えば、つまらない学校の授業などでも、密かに思いを寄せていた先生に教わった科目は多少でも楽しかったのではないでしょうか?そして他の科目よりも記憶している内容が多いはずです。これは勉強という「情報」に、好きな先生を前にしてドキドキするという「感情」がプラスされて、結果として記憶の定着が高まるという効果です。

 

 

2.すぐに忘れる記憶と思い出に残る記憶の違い(認知記憶と運動記憶)

記憶を大まかに分けると認知記憶運動記憶があります。

視覚や聴覚で情報を認知するとほんの一瞬だけ記憶として蓄積されます。このような超短期記憶を感覚記憶と言い、視覚からの情報は1秒程度、聴覚からの情報は数秒で消滅します。

 

次に、大脳辺縁系から海馬へと記憶が移って蓄積されている状態を短期記憶と言います。これは1分程度で消滅します。

 

海馬で1時記憶されているものを中期記憶と言い、1時間~1か月程度保存され、この期間に長期記憶するものと消滅させるものを選別します。そして重要な記憶と選別されたものは海馬から大脳へと移動し、長期記憶となります。

しかし、長期記憶も記憶されている間に1か月以内に2回以上反復することで長期記憶になるといいます。これをリハーサル効果といいます。

つまり仕事でも勉強でも長期記憶させるためには反復練習が必要なのです。

 

長期記憶は言葉で記憶する宣言的記憶と動作によって記憶される手続き記憶に分けられ、さらに宣言的記憶は特別な出来事として記憶されるエピソード記憶、知識を記憶する意味記憶に、手続き記憶は、すでにある記憶に新しい記憶が影響を受けるライミング記憶、ある技術のノウハウである技能、条件反射として記憶されている古典的条づけなどに分かれます。

 

 

3.人は記憶すると同時に忘れてしまう

人の脳には記憶するメカニズムがありますが、忘れるメカニズムもあります。

長期記記憶や中期記憶は一時的には記憶しますが、必要ないものとして消滅します。

消滅する原因としては、興味がないテーマだったり、記憶しにくい内容、集中できない、似通ったものと混同する、緊張や興奮で思い出すことを妨害されるなどがあります。

 

長期記憶として残されているはずなのに、思い出そうとしても思い出せないことがあります。いわゆるド忘れです。ド忘れはなにかのきっかけで思い出すことがありますが、どんな手掛かりを与えても思い出せないことがあります。これが記憶障害で過去に覚えていたことを思い出せない長期記憶障害と新しいことが覚えられない短期記憶障害があります。

記憶障害のうち、宣言的記憶が障害された状態を健忘といいます。エピソード記憶意味記憶が失われるもので、物忘れから記憶喪失まで含まれます。

 

特に認知症ではこの健忘が初期症状から見られます。アルツハイマーでは一時記憶する働きがある海馬から脳萎縮が始まることから、物忘れが多くなるといわれています。

 

年をとると物忘れが多くなってきます。確かに脳細胞は年とともに減少し、増えることはありません。しかし、脳細胞を繋ぐネットワークは年をとっても増やすことができます。新しい刺激を脳に送ることで、細胞同士の連絡網の発達を促していきましょう。

 

 

4.運動記憶を高めると運動能力が上がる

運動が得意になるための決め手となるのが記憶力です。この記憶力はものを覚えるための認知記憶とは違い、運動記憶と呼ばれ、記憶中枢である海馬とは無関係な記憶のことをいいます。

 

野球、サッカー、ゴルフなど、あらゆるスポーツで傑出した選手がいますが、彼らがなぜ上達するのかと言えば、繰り返し練習しているからです。過酷な練習メニューも運動記憶の仕組みを知ると、その効果に納得できるはずです。

 

運動記憶では、大脳皮質から神経回路を伝わって小脳皮質へ電気信号が送られることで、運動のやり方に関する指令が筋肉へ出されます。

しかし、指令を受けた筋肉は最初からうまく働くことはありません。野球で言えば飛んできたボールをキャッチできなかったり、ピッチャーが投げたボールを空振りしたりします。このとき小脳からは、間違った運動指令が出されているために失敗が起こっているのです。すると、再び大脳から小脳に「この動きは失敗だ」という信号が送られ、間違った運動指令が抑圧されます。

 

この一連の脳の動きをフィードバックといい、フィードバックを繰り返すうち、次第に小脳に正しい運動を行うための指令を出す電気信号が強化され、運動能力が向上していくのです。

 

なので運動が得意になるためには、何度も失敗することによって少しづつ正しい感覚を身体になじませていくことが大切です。これはスポーツに限らず、演奏、演技など体を使って何かを行うことにはすべてに共通することです。

 

 

5.記憶力はどこまで高められるのか

人間の記憶力には差があるといわれていますが、本来人間の脳が持つ記憶の容量は膨大なものです。ハンガリーの数学者でコンピューターを発明したジョン・フォン・ノイマンは、その量を10の20乗ビット程度と試算しました。

ビットとは、コンピューターで使われるデータの最小単位であり、8ビット=1バイトに相当します。1バイトはアルファベット1文字分ほどのデータ量です。また、パソコン1台が持つハードディスクのメモリで考えてみると、最近の標準的なハードディスクの容量は100ギガバイトであり、これをビットに換算すると約8600億ビットになります。ノイマンが試算した10の20乗ビットはこれをはるかに上回る量になり、100ギガバイト容量を持つパソコン台数でいうと約1億台分に相当します。

 

この説に対し、人間がものを忘れる機能を差し引くと記憶容量はもっと少ないはずだとする説もありますが、いずれにしても人間の脳の記憶容量はとてつもなく大きいといえます。

 

さて、人間の脳が記憶を行うときの構造を表したものに記憶ネットワークというものがあります。

ある概念が記憶されるとき、関連し合う者同士が網の目のように結ばれていきますが、より関連性の大きいもの同士が近接することがわかっています。このように関連性のあるもの同士が近接しながら情報が整理されていくことをライミング効果といいます。

 

このプライミング効果を利用することで記憶力をアップさせるなど、近年記憶力開発の方法が研究されています。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

記憶力に関する心理学でわたしが特に重要だと思うものを5つ紹介しました。

この5つを理解し、強化していくことで、皆さんの記憶力が向上し、仕事や勉強などで良いパフォーマンスを発揮していただければ幸いです。