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【集団心理学】集団に関する心理学3選をわかりやすく解説

 

人間が1人で出来ることには限界があります。そのため人間は昔から徒党を組んで集団で生活してきました。

しかし集団には頼りになる反面、恐ろしい側面も多くあるのです。

今回はそんな集団に関する心理学を3つ紹介していきます。この記事を読むことで集団の中で生活していく上での注意点を明確に理解することができます。

 

1.集団心理が持つ怖さ

「赤信号、皆で渡れば怖くない」という言葉がありますが、集団になると陥ってしまう心理行動に集団思考というものがあります。

人は集団の中に入ると、責任感や判断力が低下してしまうのです。

1-1・不敗幻想

集団思考の研究で有名なアメリカの心理学者ジャニス(1918~1990)は、集団思考において1番大きく働く力を不敗幻想と呼びました。

自分が所属している集団こそ力があり、個々人もそのために必死で働いている。だから私たちの集団はどんなことでもできるという幻想です。

 

不敗幻想がその集団を支配すると、集団の結束を乱すような反対意見は言えなくなります。常に全員一致が原則になりますから、新たな問題が発生したときの対応は遅れ、良い方法があっても、有効な方法は採られにくくなります。

 

最悪の場合、群衆による集団リンチや暴行事件まで引き起こします。

 

 

1-2.普遍感

集団リンチや暴行は日頃の欲求不満が原因です。欲求不満が積み重なり、はけ口を求めて一気に恐ろしい行動に向かうのです。

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特に、他人同士で構成された集団であれば責任感も薄れます。

誰もが同じことをしているのだから、悪いことではないと思ってしまうのです。

これを普遍感といい、人間にはもともと多数の人の価値観に倣(なら)っておけば間違いないと思う心理が働くようです。集団で赤信号を渡る行為などはまさにそれに当たります。

 

集団思考には多くの問題点があることを理解したうえで、自由に意見を言い合える雰囲気を作っていくことが大切です。

 

 

2.マイノリティ・インフルエンス(1人の意見が多数派を変える)

集団の意見は確かに物事に大きな影響を与えますが、時には少数の意見が集団に影響することもあります。

それがフランスの心理学者セルジュ・モスコビッチ(1925~2014)が実証したマイノリティ・インフルエンス(少数者の影響)です。

2-1.ホランダーの方略

マイノリティ・インフルエンスには2つの方法があります。

1つはホランダーの方略と呼ばれるものです。

 

過去に集団に大きく貢献した人が、その功績から集団の理解と承認を得ていく方法です。いわば上から変革を促す方法と言えるでしょう。

 

例えば、新しいプロジェクトを立ち上げる時、誰もがリーダーだと認める人物が、困難な案件でも、皆で協力していけば必ずうまくいくと前向きにさせる場面などがそれに当たります。

 

 

2-2.モスコビッチの方略

逆に下から変革を促すのがモスコビッチの方略です。

実績のない者が、自分の意見をかたくなに繰り返し主張することで、多数派の意見を切り崩していきます。

 

何度ボツにされようが、「これは絶対に消費者に受ける」と一貫して同じ企画を出し続け、ついには多数派を納得させるというケースです。

この場合、多数派に「もしかして自分たちが間違っているのではないか」という疑念が生まれ、再検討が促されるのです。

 

そして、多数派が少数派の行動や意見に納得したとき、マイノリティ・インフルエンスは最も効果を発揮し、少数派であっても後に非常に大きな支持を得ることになります。

 

ただし、あまりにもその意見と現実とのズレが大きい時には、マイノリティ・インフルエンスはあまり作用しないことが分かっています。

 

 

 

3.集団パニック、暴行を起こす集団心理

人は不安や恐怖(ストレス)などから混乱した心理状態に陥り、パニック、つまり集合的逃走を起こすことがあります。

特に日常とは違う状態になったとき、素早く正しい情報が伝達されないと、その危険性が増してきます。

 

 

3-1.集団ヒステリー

集団妄想ともいう群集心理です。

 

ある集団に属する人がヒステリー症状を起こすことで、それが集団に感染することをいいます。

 

例えば、同じクラスの生徒や宗教団体の信者間などで、1人が興奮することで他のメンバーも失神状態などを引き起こすことがあります。

 

催眠にかかりやすい状態のことを被暗示性と言いますが、この被暗示性が極端に高くなった状態のときに集団ヒステリーは起こります。

 

 

 

3-2.アジテーター(集団パニックを引き起こす扇動者)

パニックは拡大すると暴動へと発展します。引き金さえあればパニックはすぐに暴動に発展します。

 

暴動は不満の蓄積からも起こります。はじめは個人的なものであった不平・不満が周りに感染・拡大し、どんどん増幅していきます。

同時に抑制する力が低下し、逆に攻撃性が増し、遂には反社会的行動へと移っていくのです。

 

この引き金を引く人をアジテーター(扇動者)といいます。

アジテーターになる人は、もともと攻撃的で、社会に大きな不満を持っている人が多いとされています。

 

 

 

3-3.ラジオドラマが1200万人をパニックに陥れた

1938年、アメリカで「宇宙戦争」というラジオドラマがパニックを引き起こしたことがあります。

当日は火星人が宇宙から攻めてくるという内容で、ドラマは臨時ニュースで始まり、その臨場感あふれる演出に1200万人ともいわれた視聴者が現実と信じ込んで、パニック状態になったそうです。

 

このようにパニックとは、自分の目の前でのっぴきならないことが起こり、しかもそれが直接的に自分の生命や財産といった、他には代えがたい物を奪うかもしれないと感じた時に起こります。

 

しかし現代では、テレビやラジオ、インターネットが発達し、災害や大きなトラブルが起きた場合などには正確な情報が迅速に伝えられるシステムが整っています。

そのためパニックが起こる可能性は低くなっています。

 

 

おまけ  

身近にあるパニックの例

1.金融をめぐるパニック

大国がインフレなどを引き起こすことで、世界中に金融不安が広がり、経済が停滞してしまう。

不特定多数の人が銀行預金の引き出しに殺到するなど。

2.食品をめぐるぱパニック

国内外の食品偽装、食品汚染がクローズアップし、消費者の食に対する恐怖や不安が広がる中、国内生産価格が過度に高騰するなど。

3.少年犯罪をめぐるパニック

近年、少年犯罪の多発を背景に、世論が白熱し、少年法が改定され、厳罰化の方向に進んでいます。

しかし統計上では、年々少年犯罪件数は減少しているといいます。

4.禁煙をめぐるパニック

タバコは身体にとって悪いという人が大多数を占める現代では、愛煙家に対する偏見が広まり、タバコ産業への規制が過度に強まっています。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

集団に関する心理学を3つ紹介してきました。

集団というのは心強いものですが、少しのきっかけで恐ろしいものへと変わってしまうということが分かっていただけたと思います。

これらのことを理解し、皆さんの集団の中での行動や生活に役立てていただければ幸いです。