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【心理学の種類7選】心理学の種類7選をわかりやすく解説

有史以来、人間の心は言語、歴史、文化、技術など、あらゆるものを創り出してきました。心理学はそうして生み出されたすべてのものと心の関係を考える学問です。

現代の心理学は、様々な学問と連携して、新たな心理法則を世に送り出しています。

 

心理学は大きく、基礎心理学応用心理学に分けられます。心理学の根幹となる現象を研究するのが基礎心理学です。

そして、そこで得た法則をさまざまな学問に活用するのが応用心理学です。

 

最近では、特に応用心理学の専門家・細分化が進み、文系・理系を問わず心理学との連携が始まっています。そうして生まれた新たな心理学研究を基礎に、学校カウンセリングや身障者福祉、老人問題、青少年問題、マーケティング、商品開発、災害時の心のケアに至るまでさまざまな領域で、心理学の知識が活用されています。

 

科学技術の進化や社会情勢が変化するたびに、わたしたちの心はそれらの変化といかに付き合うべきかという問題にさらされます。そしてそのたびに、心理学の研究領域も広がっています。

 

この記事ではそんな心理学の種類を7つにわけて紹介していきたいと思います。

1.心のトラブルの治療に取り組む臨床心理学

心はいつも元気なわけではありません。時にバランスを崩したり、大きな傷を負ってしまうこともあります。そんなとき、症状の改善に向けて取り組むのが臨床心理学の目的です。

 

臨床心理学は、アメリカの心理学者ライトナー・ウィトマー(1867~1956)がペンシルバニア大学において心理クリニックを開設したときに誕生したといわれています。

 

臨床心理学は、摂食障害心身症非行不登校引きこもり虐待暴力うつヒステリー統合失調症依存症など、心にまつわるトラブル全般の解決に取り組みます。

患者がそれらの問題を解決するを手助けするのが心の専門家、臨床心理士です。この資格を取るには大学院で臨床心理学を習得することが必要で、最近の心理学人気により、受験者は増えています。

 

ところで、心のトラブルの治療と言っても、臨床心理学者は薬物を投与することはできません。そのためクライエント(患者)をしっかり観察し、症状や疾患を分析し、その人に合った心理療法を施します。

 

そこで大事なのがクライエントを詳しく知ること。心理検査や面接では家庭の環境や生まれ育った環境など、調べられる限りの情報を集め、クライエントの人格像がありありと浮かぶようにする事例研究法を採用し、その結果に基づいて治療にあたります。

わが国では従来、個人療法が採用されていましたが、近年ではクライエントの周囲とも話合って、その悩みを取り去る努力をするなど、さまざまな方法が採られています。

 

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2.凶悪犯罪と社会の病理を解明する犯罪心理学

犯罪と人間の心理を研究する学問が犯罪心理学です。その目的を大きく分けるなら、

①なぜ人間は違法行為をしてしまうのか解き明かす

②犯罪の成否を決める目撃発言の信憑性を読み解く

③罪を償い終えた人の社会復帰をスムーズにするにはどうすれば良いのかを考える

主にこの3点が挙げられます。

 

犯罪心理学では、主に犯罪者への面接調査によって研究を行います。

なぜその人が犯罪を犯すに至ったのか、その生い立ちはどのようなものであったのか、犯罪者にとってその行動にはどのような意味があったのかなどをじっくりと聞き取り、心理学の知識を駆使してその意味を考えるのです。

 

例えば凶悪な犯罪者や意味不明の無差別殺人が起こったとき、わたしたちは「犯人は異常な心理の持ち主ではないか」と考えます。しかし犯罪心理学では、犯罪者とそうでない人の間には明確な違いはないと考えます。

だからこそ「なぜ人は罪を犯してしまうのか」という犯罪心理学の研究は大切なのです。

 

実際の犯罪調査にも、心理学は活用されています。

例えば人質救出作戦において、犯人との交渉を担当する交渉人(ネゴシエーターという専門職があります。犯人の精神状態や現場の状況などの情報を収集し、心理学、行動学犯罪学の知識と話術を用いて、事件を平和的に解決しようとします。

 

また、プロファイリングは、犯罪調査において行動科学的に分析し、犯人の特徴を推論することをいいます。

犯罪現場に残されたさまざまなデータから、犯人の特徴を推測して捜査を進めていく手法で、プロファイリングには、犯罪心理学の知識だけではなく、人類学なども含めた行動科学が活用されます。

 

もともとはFBIで開発されたプロファイリングですが、現在ではリバプール方式と呼ばれるプロファイリングが主流になっています。

犯人の行動を分類し、そのデータを基にして犯人像を創り上げていくFBI方式に対して、リバプール方式では統計が駆使されます。これらは総称して犯罪者プロファイリングと呼ばれます。

 

また、犯人の隠れ家を特定したり、次に犯人が凶行に及びそうな場所を特定したりするのは地理プロファイリングの仕事です。

 

 

3.マインドコントロールや洗脳を解明する社会心理学

社会心理学は、人間の行動を他社からの刺激や反応の結果と考えます。

マインドコントロールや洗脳に関する研究は、まさに社会心理学が得意とするテーマといえるでしょう。そのほか、流行はどのようにして生まれるのか、集団はどのようにしてできていくのか、困っている人を助ける人とそうでない人がいるのはなぜなのかなど、社会レベルから個人レベルまでの人間の行動を研究するのが社会心理学です。

 

マインドコントロールは、人を動かす方法の中で、最も巧妙かつ悪質な方法の1つです。

例えば、オウム真理教のような破壊的カルト(信者の人格や人生観、価値観、社会性を破壊する宗教)は、巧みにマインドコントロールを行い、本人の自覚がないままに自己のアイデンティティを破壊し、彼らが必要とする人格に変えてしまいます。つまり、人間の欲求を操り、情報をコントロールすることなどで個人を支配するのです。

そのため、破壊的カルトにマインドコントロールを受けた人は、時に常識では考えられないような犯罪行為に走ります。悪質商法に引っかかって、知らないうちに大金を奪われたというのもマインドコントロールの1つといえます。

 

良く誤解されるのが洗脳との違いです。洗脳は朝鮮戦争の時代にアメリカ人捕虜が受けた尋問と教化を、アメリカのジャーナリストエドワード・ハンターが使ったのが言葉の始まりとされています。

その方法は、物理的強制力をもって、人間の身体を拘束状態に置き、行動を変えようとします。社会心理学は、こうした心理のメカニズムをも研究のテーマとしています。

 

洗脳への3つのステップ

アメリカの心理学者エドガー・シャイン(1928~)は洗脳が行われる過程を3段階に分類しました。

解凍・・・長時間の尋問や、独房での監禁、睡眠不足状態をつくり、これまでその人が持っていた価値観やアイデンティティを崩壊させる。

変革・・・攻撃によりアイデンティティを破壊され、よるべのなくなった心は落ち着き先を求めて新たな価値観を受け入れようとする。解凍された段階になったときに、新たな価値観を脳に刻み込ませる。

再解凍・・・②の変革で新しい価値観を受け入れた人は、その価値観を昔の価値観と連結させようとする。そこで周りの人間から新しい価値観を支持するよう威圧的説得をされることで、その価値観が強く刻み込まれ、洗脳が完成する。

 

マインドコントロールの4つの方法

悪質なマインドコントロールは、以下のようなテクニックで批判する力や判断力を失わせ、行動に関する自由意思をなくしていく。

行動のコントロール・・・細かい行動の指示をする。付き合う相手、睡眠時間まで指示することも。しかし、本人は良心に従って自発的に行動していると感じている。

思想のコントロール・・・その教えに疑問を挟み込む余地もないほどに、徹底して教え込む。

感情のコントロール・・・良心的な組織は人に平安を与えるが、破壊的カルトなどは恐怖と不安の感情を中心にコントロールする。

情報のコントロール・・・組織に対する批判的な情報を禁止する。マスコミの第三者的な文書を禁じることもある。

 

 

 

4.赤ちゃんから高齢者まで幅広く研究する発達心理学

人の心と身体は、ゆっくりと時間をかけて発達していきます。この発達過程のメカニズムを研究するのが発達心理学です。

 

発達を促すのは遺伝か、経験か。赤ちゃんはなぜ人見知りをするのか。子供にはなぜ反抗期があるのか。中年期を迎えて第2の人生に飛び出そうとする人が多いのはなぜなのか。その研究テーマが前年代にわたるため、発達心理学は、心理学の中でも大きな位置を占めています。

 

発達心理学は、ついひと昔前まで児童期と青年期を主な研究対象としてきました。そもそもアメリカの心理学者スタンレー・ホール(1844~1924)の手によって児童心理学を中心に打ち立てられたためです。しかし高齢社会の深まりとともにそれは見直され、今では生まれてから死ぬまでを1つの枠組み(生涯発達)として研究することが一般的になっています。

 

「成長の謎」を解き明かす学問。それが発達心理学といえるでしょう。

代表的な理論としては、スイスの心理学者ジャン・ピアジェによる認知発達や、アメリカの心理学者エリク・エリクソン(1902~1994)による心理社会発達段階があります。

 

エリクソンは人生を8つの発達段階に分け、それぞれの段階に発達課題と心理的危機があるとしました。

乳児期 基本的信頼感の獲得・・・母親と信頼関係を形成する。

幼児期前期 自律性の獲得・・・排泄を学び、自律性を身につける。

幼児期後期 自主性の獲得・・・欲求と周りの規律に折り合いをつける。

学童期 勤勉性の獲得・・・勉強により能力を実感できるようになる。

青年期 アイデンティティ確立・・・自分らしさを打ち立てる。

成人期初期 親密性の獲得・・・異性を愛する。

成人期 生殖性の獲得・・・生殖活動に関心を持つ。

老年期 統合性の獲得(自我統合)・・・老いや死を受け入れ、余生を送る。

 

 

5.コンピュータとともに生まれた認知心理学

人はどのように物事を受け入れるのか、記憶をどのように思い出すのか、問題が目の前で起こったとき、どのように解決するのか。それらの仕組みを明らかにするのが認知心理学です。

 

「見る、聞く、話す、記憶する」といった認知の仕組みは、外部から客観的に観察できるものではありません。そこで認知心理学では、こころを情報処理システムととらえることで、その仕組みを明らかにしようとしました。

 

コンピュータは、①情報を入力、②ハードディスクに記憶、③必要な時に検索してファイルやプログラムを開く、という3つの過程によって情報を処理しています。ここから、情報を処理し、活用するためには入力保存検索、という3段階が必要だと結論づけました。

 

認知心理学の誕生はコンピュータの誕生と同時期にあたります。

心理学はそのときどきの学問に大きな影響を受けて発展を遂げますが、認知心理学はコンピュータと情報理論が生み出した20世紀生まれの新しい学問といえます。

 

また、脳科学情報科学言語学人類学神経科などさまざまな学問と連携し合うことで認知科学という新しい学問まで生み出しており、現在、学問の中においても重要な位置を占めている心理学です。

 

ちなみに、認知科学とは、情報処理の観点から人の知的活動を理解しようとする研究分野で、人工知能などが議論されています。心理学、人工知能学、文化人類学などの学問との連携も必要とされています。

 

 

 

6.アスリートの悩みを解決するスポーツ心理学

どうすれば運動能力は向上するのか、スポーツは性格にどのような影響を与えるのか、なぜ人はスポーツ観戦に興じるのかなどをテーマとするのがスポーツ心理学です。

あらゆる角度から、スポーツをする人、スポーツを見る人、スポーツを仕事にする人の心理を研究しています。わが国では、1964年の東京オリンピック開催にあたってスポーツ心理学が選手強化対策の一環として取り入れられ、後の発展に貢献することとなりました。

 

スポーツ心理学の中心的テーマともいえるのが、メンタルトレーニンです。

練習ではいい記録が出せるのに、本番になると本来の実力が発揮できない。そんな状況を改善するために、競技力を高める心理的スキルを強化することで、競技者の潜在能力を最大限に発揮させることを目指します。

 

そのために、ストレスや緊張のコントロール、集中力の強化、イメージトレーニング、やる気や目標達成力の向上、チームプレーなどに伴うコミュニケーションスキルの強化などを実践的に行います。

 

また、スポーツカウンセリングという方法が採られることもあります。

選手が抱えている問題を直接指導して解決するのではなく、面接によって選手が抱えている問題の背景を探り出し、その背景も含めて選手に気づかせて問題を解決する方法です。

 

このように、認知行動療法的なアプローチと、臨床的なアプローチからスポーツ選手をサポートするのがスポーツ心理学といえるでしょう。

 

ピークパフォーマンス

スポーツのみならず、その人にとって今までにない好成績を収めることをいいます。

アメリカの心理学者チャールズ・ガーフィールドは、ピークパフォーマンスを構成するものとして①精神的リラックス、②身体的リラックス、③繭(まゆ)の中にいる感覚、④自信がある楽観的感覚、⑤高度に力を放出する感覚、⑥コントロールしている感覚、⑦異常なほど「分かっている」という感覚、⑧現在に集中している感覚、があるといいます。

 

ピークパフォーマンスを求め続ければ、運動することが苦でなくなり、その結果、心身が健やかになるため、競技以外の効用も重要視されています。

 

 

 

7.社員のやる気を高める産業・組織心理学

事業を運営する上での諸問題について、心理学的手法を用いて解決を図り、業務の効率アップを研究するのが産業・組織心理学です。

その研究テーマはリーダーシップ、的確な意思決定、人材採用、人事評価、働く人の健康、宣伝・広告効果など多岐にわたります。

 

景気低迷の中、企業が業績を上げるためには、会社を支える従業員のモチベーションが欠かせません。

このモチベーションアップをどのように行うのかということも、産業・組織心理学の大きな研究テーマです。

 

モチベーションとは、動機付けです。動機が行動を起こすための動因であるのに対し、動機付けは行動を継続的に続けさせることを言います。

動機付けとしては、外的動機付け(ボーナスを奮発するなど)、内的動機付け(新規事業を任せて刺激を与えるなど)が考えられます。

また、実現可能な目標を設定し、成功体験を積み重ねることも効果的な動機付けとなるでしょう。

こうした動機付けから、仕事に張りを与え、社員に「明日も頑張ろう」という気持ちにさせることになるのです。

 

業績を上げるという意味で言うなら、働く人だけでなく消費者の行動を知ることも大切です。そのため産業・組織心理学では、購買意思決定の心理購買行動もテーマとしています。

 

どんなに効率よく綿密な計画を立てても、それを行動に移すのは結局のところ人間です。

また、企業や組織の人々の働き方や働く意思は、時代のうねりの中で変化しています。

だからこそ、産業・組織心理学は人間に焦点を当て、研究されるのです。

 

サラリーマン・アバシー

一流企業などに入社した新入社員が、ゴールデンウイーク明けごろから仕事に対して意欲をなくし、無気力になることを言います。

似たような症状に、大学新入生がかかるスチューデント・アバシーがあります。

 

アバシーとは、精神疾患などで起こる無気力な状態のことです。

理想の会社生活や学生生活を思い描いていたのに、現実には期待通りの成果を上げられない場合に、つらい現実から逃げたいと思う心が起こす自己防衛反応の1種といわれています。

 

 

まとめ

いかがでしたか?

心理学の種類について7つ紹介してきました。

この記事を参考にしてこれからの勉強や日々の生活に役立てていただけたら幸いです。