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【心の病10選をわかりやすく解説】

現代人は人類の歴史上最もストレスに晒されていると言われています。

学校や職場、家庭での人間関係、受験や出世争い、ネットやSNSでの誹謗中傷などあらゆるストレスが日常に潜んでいます。

そんな時代に暮らしている現代人は特に心の病にかかりやすくなっています。皆さんの周りにもうつ病になってしまったり、引きこもりになってしまっている方がいるのではないでしょうか?

そこで今回は、心に関する病を10こに分けてわかりやすく解説していきたいと思います。

1.適応障害

人は人生の節目節目で環境の変化を体験します。例えば社会人として会社に就職することもそうでしょうし、異動や転勤もそうです。適応障害とは、こうした環境の変化から発生するストレスによって心身に障害が現れ、社会生活に支障をきたす状態を言います。

症状としては、抑うつ気分や不安を伴い、身体症状としては摂食障害、けいれん、頭痛など、行動としては無断欠席や虚偽発言など、極端な変化が起こります。

 

新入社員や新大学生などに見られる五月病はその代表例といえます。

これまでとは全く違う環境に飛び込み、右も左もわからない中で働くことは心身共に非常にエネルギーを奪われます。また、社会人1年目は、「自分ができること」と「自分がやれること」の差を思い知らされる時期でもあります。そうした環境に適応するため防衛機制が働きますが、ストレスが限度を超えるとその機能が働かなくなります。

その結果、五月病という形で現れるのです。

 

適応障害精神疾患として軽度の部類に入りますが、うつ病をはじめとする病気の入り口となることがあり、軽く考えるのは危険です。

 

主人在宅ストレス症候群

定年になった夫が常に家にいるようになったことで、妻が強いストレスを感じ、身体に変調をきたす状態を、心療内科黒川信夫主人在宅ストレス症候群と名付けました。

中には夫が脱サラして自宅で仕事を始めたというケースもあると言います。

 

それらに共通しているのは、夫が家でテレビばかり見ている、3度の食事の用意が大変、細かく干渉されるなどで、今までにない強い束縛間を感じていることです。

 

こうした妻たちは、今まで亭主関白型だった夫に従ってきた女性が多く、夫に自分の気持ちを伝えられずに抑うつ気分となり、身体的にも胃腸がんや高血圧、過敏性腸症候群、脱力感などの症状が現れてくると言います。

これらも1つの適応障害と言えるでしょう。

 

 

2.燃え尽き症候群バーンアウト・シンドローム

なんの滞りもなく仕事をしてきた人が突然やる気を失い、まるで燃え尽きたかのようになってしまう。これが燃え尽き症候群バーンアウト・シンドロームです。

この言葉を最初に用いたのはアメリカの精神心理学者ハーバート・フロイデンバーガー(1927~1999)で、その後アメリカの社会心理学クリスティーナ・マスラックが、その重症度を判定するMBIマニュアルを考案しました。

 

MBIによると、バーンアウトは、情緒的消耗感脱人格化個人的達成感の低下の3つの症状があると定義されています。情緒的消耗感とは、仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし、消耗してしまった状態です。

激務がたたって心にゆとりがなくなってしまったと感じたり、身も心も疲れ果ててしまったなどの感情です。

 

そうした消耗感への防衛機制として、相手との情緒的コミュニケーションをできるだけ避けるようになります。その行き着く先が脱人格化です。そのような人は他社に対して紋切り型で対応してしまうようになるため、相手への気配りなどを面倒に感じたり、仕事の結果などどうでもいいと感じるようになります。

 

そうなると仕事の成果は落ち込み、これまでその仕事で得てきた達成感は著しく低下してしまいます。個人的達成感の低下は、時に人を休職や離職に向かわせることもあります。

 

近年の日本では、燃え尽き症候群は、大きなスポーツ大会で選手たちが人生最大の目標を終え、虚脱感を覚えるときなど、深刻な精神状態とは別のケースで使うことが多くなっています。

 

 

3.PTSD心的外傷後ストレス障害

PTSD心的外傷後ストレス障害は、日本では1995年に起きた阪神淡路大震災以降に注目を浴びるようになり、アメリカでは1980年代、ベトナム戦争から帰還した兵士の症状として注目され始めました。PTSDとは不安障害の1種で犯罪や戦争、災害や事故、暴力や虐待など、死と隣り合わせの危険を体験したり、ショッキングな出来事に出会うと、それがトラウマ(心的外傷)となって発症するとされています。多くの場合すぐに発症しますが、時にはそうした体験の数年後に突然何かのきっかけで発症することもあります。

 

PTSDを発症すると、トラウマとなった出来事に関連することを回避しようとしたり、その出来事の重大な部分だけを思い出せなくなったりします。また、神経が高ぶって怒りっぽくなり、集中力がなくなる、過剰な警戒心、睡眠障害なども現れます。

 

PTSDの症状として特徴的なのがトラウマの再体験です。突然、目の前に思い出したくもないトラウマがよみがえるフラッシュバックや、その出来事に関連した悪夢を繰り返し見たりします。症状の辛さから、離婚や失職、対人不安やアルコール依存、薬物依存などで逃避したり、最悪のケースでは自殺に追い込まれることもあります。

 

PTSDは、極端な経験から感じるストレスが原因ですから、焦らず辛抱強く、その人のペースで治療を進めていくことが大切です。

治療法としては、同じトラウマを持つ人々が集まり話し合うグループセラピーや、行動療法催眠療法EMDR(脳をレム睡眠の状態に持っていき、トラウマを癒していく)などがあります。

 

 

解離性障害

解離とはバラバラになること。解離性障害は、トラウマへの自己防衛手段として解離という方法を選んだ状態をいいます。

つまり、自我を成立させている記憶、意識、運動、視覚、触覚などの感覚が損なわれ、正常に機能しなくなるのです。

 

解離性障害には、症状別に以下のようなものが挙げられます。

 

解離性健忘・・・数時間~数日間の記憶が失われる。空間移動しているような感覚。

解離性遁走(とんそう)・・・家庭や職場から突然失踪し、その間自分の名前や職業、家族のことなどを忘れる。

解離性同一障害(多重人格障害・・・複数の人格が存在する。

解離性混迷・・・長時間座ったり、横になったままで、音や光などの刺激にも反応しない。

憑依障害・・・霊や神などに取り憑かれていると確信する。

解離性運動障害・・・手足の運動能力が失われ、介助なしで立つことができなくなる。

解離性知覚麻痺・・・皮膚の感覚がなくなり、視覚、聴覚、嗅覚の障害も現れる。

 

 

4.アディクション嗜癖

ある特定の刺激や快楽を求めてしまう性向をアディクション嗜癖といいます。

わかりやすい言葉では「のめりこむ」「はまる」といった状態です。アディクションを大きく分けると、物質嗜癖(しへき)、プロセス嗜癖人間関係嗜癖の3つがあります。これらを自分自身でコントロールできなくなり、精神疾患として発症してしまうのが依存症です。

 

アルコール依存症は物質嗜癖(気分を変えてくれる物質へののめりこみ)から生まれる表的な依存症です。薬物依存や過食もこれに当てはまります。これらにのめりこむと、それが切れた時に手が震えるなどの禁断症状が起こります。

 

ギャンブル依存症はプロセス嗜癖(高揚感を与えてくれる行動へののめりこみ)から起こります。ひどくなると生活費まで使い込み、借金をしてまでやるようになります。仕事、ショッピング、借金、リストカット、インターネット、ストーキング、強迫的なダイエットなども嗜癖の対象です。

 

人間関係嗜癖は、人間関係にのめりこむもので、相手との関係性に過剰に依存する共依存などがこれにあたります。

 

アディクションが起こる背景には、自分が抱えている辛さから逃れ、自分で自分を癒そうとしていることが考えられます。

しかし、この自己治療は、次第にコントロールが利かなくなります。そして、1つのアディクションから次のアディクションへ移行したり、複数のアディクションを抱えてしまうこともあります。自己コントロールができない状態ですから、専門医や周囲の力を借りて治療する必要があります。

 

 

5.共依存

依存症の中でも人間関係嗜癖に類するのが共依存です。モノやある行動に依存するのではなく、特定の人間関係に依存し、身近な人(配偶者、親族、恋人、友人など)の問題ばかりに気を向けてその問題の後始末に夢中になります。

 

典型的な例が、ひどく暴力的な男性でも好きになってしまう女性です。

彼女はDV(ドメスティックバイオレンス)を受けても、お金をむしり取られても「あの人にもいいところはある」と決して別れようとはしません。それどころか「あの人には私がいないとだめだ」と自分を納得させて相手に尽くそうとします。そのようにふるまう原因は、相手との関係性を維持することに自分の生きる証を見出していることにあります。

 

このように、共依存の人は、周りの感情や行動に過剰なまでの責任を感じます。自分の欲求を表現することが苦手で、強い不安感を抱えています。常に他者の評価を必要として、それを持って「優れた自分」「愛される自分」という認識を自分の中に取り入れようとします。

 

時には甘えることも必要でしょうし、助け合って生きることは、幸せな人生を過ごすための必要条件でもあります。しかし、共依存しすぎると、健全な人間関係を築くにはかえってマイナスになってしまいます。

 

アディクション全般に言えることですが、まず治療のためには周囲性を断ち切ることが大切です。

刺激を受けることを阻害し、アディクションを進行させる回路を破壊するのです。望ましくない人間関係を断ち切るためには、共依存を自覚することが必要と言えるでしょう。

 

 

6.パーソナリティ障害

物事のとらえ方や行動が一風変わっており、そのために社会生活を送ることが難しくなってしまうのがパーソナリティ障害です。

例えば責任感がある人は、周りからも信頼されます。しかし、あまりにも責任感が強すぎても、逆に無責任でも周りは迷惑なものです。ドイツの精神病理学クルト・シュナイダー(1887~1967)は「性格の偏りにために、自分も苦しみ、なおかつ周りも苦しむ」と定義していますが、こうした偏りがパーソナリティ障害の特徴と言えるでしょう。

 

パーソナリティ障害は大きく

①ありえない考えにはまりやすいA群パーソナリティ障害

②感情の表し方が過剰すぎたり、周りを振り回したりするB群パーソナリティ障害

③人間関係に著しい不安を抱えるC群パーソナリティ障害

この3つに分けられます。

 

原因としてよく言われるのが親の影響です。乳児期に安定した愛着を形成することができなかった子供は、周りの世界や人に対しての恐怖感を心に刻みつけており、それが大きく影響するともいわれています。

また遺伝的な影響もあるとされています。

 

境界性パーソナリティー障害

気分の移り変わりが激しく、人に対する態度や行動が驚くほど急転するのが境界性パーソナリティー障害(ボーダーライン)です。思春期または成人期に生じることが多く、圧倒的に若い女性に多いのが特徴です。

その感情の変化は、時間単位、あるいは日単位で起こります。

 

見捨てられるのではないかという不安が強く、相手が少しでも不機嫌な表情や口調で話すと、もう自分は必要とされていないのだはないかと強い不安感を抱きます。

相手にとってみれば特に理由ない場合でも、彼らはそれを悪い意味で受け取ってしまうのです。そして相手の気持ちを振り向かせようとして機嫌を取ってみたり、逆に憤って衝動的に自己破壊行動を起こすこともあります。物事を「好きか嫌いか」「敵か味方か」と極端に考えがちなため、なかなか心の平安を得ることができず、愛情を求めながらも孤独感をますます深めていくのです。

 

この行動の背景には、幼児期における親子関係の不全や遺伝的問題、トラウマ経験などがあるとされ、またうつ病摂食障害などを併発しているケースが見られます。

 

自己愛性パーソナリティー障害

人間の幸せに自尊心は欠かせません。しかし、過剰なまでにそれが肥大しているとすれば問題です。自己愛性パーソナリティー障害は、ありのままの自分を愛せなくなり、自分に対する誇大感を持つようになる状態を言います。

彼らは自分には特別な才能があり、当然周囲の人は自分を認めて褒めたたえるべきだと考えます。

 

そのため、他人からの評価には敏感で、もし批判でもされようものなら強い怒りを表します。プライドの高さゆえ挫折や失敗を認めることができず、著しく心を傷つけられて、引きこもりになることさえあります。

そのくせ他人の気持ちや立場を理解しようとせず、他人は利用するものと考える傾向があります。当然、共感や思いやりにかけます。

 

発症の根底には自己愛の傷つきがあります。母親の過保護(溺愛)と愛情不足のアンバランスな経験や、幼いころは愛情を受けて育っても途中で養育者が亡くなる愛情剥奪経験を持つ人も多いようです。

 

ただ、芸術など創造的な営みに、こうした傲慢さ、尊大さ、妥協を許さない生き方は欠かせない要件とも言えます。

 

 

 

8.対人恐怖症

対人恐怖症(社会恐怖は、日常生活もままならないほどに、人と接するときに緊張し、震えたり、電話が取れなくなったりなどする病気です。この症状に悩む人は女性に多く、男性の約2倍もいると言われています。特に20~30代は、就職して社会に出て新しい環境に戸惑ったり、結婚・出産などで母親同士の人間関係に悩まされる時期でもあります。

そのため、今まで感じたことのない苦痛やトラブルに見舞われることになります。

 

対人恐怖の背景には、幼い頃の体験も影響していると言われています。

例えば、もともと神経質なところに、学校で先生に叱られた友人をみて人前に出るのが怖くなったり、発表会で失敗して笑われて、それ以来人前で話すことができなくなったなど、人それぞれの辛い体験があったと考えられます。

 

こうした症状は、以前は「気持ちの持ちようだ」などと言って相手にされない場合が多かったようですが、現在は社会不安障害(恐怖症)として、助力が必要とされています。

とはいえ、本人がなかなか助力を求めないことが多いのも事実です。

そのため、引きこもりにつながっていく可能性もあります。そこで、周囲がそのような状態を病気とづき、悩んでいる人が前向きに生きられるように治療に意識を向けさせ、手助けしてあげることが大切です。

 

治療方法には薬物治療認知行動療法がありますが、実際にはこの2つを併用する場合が多いようです。また、同時に他の精神疾患を併発する割合も高いので、なるべく早く受診したいものです。

 

対人恐怖症のタイプ

●赤面恐怖・・・人前に立つと顔が赤くなる。

●スピーチ恐怖・・・会議や披露宴などでスピーチする際、強いプレッシャーを感じる

●視線恐怖・・・人に観察されている気がするなど、他人の視線が怖くなる

●会食恐怖・・・食べているところを他人に見られると食べられなくなる

●電話恐怖・・・電話が鳴ると動悸が激しくなり、電話が取れなくなる

●書痙(しょけい)・・・人前で字を書こうとすると震える

 

 

9.パニック障害

パニック障害は、ある日突然、激しい不安とともにパニック発作(不安発作)が起こる病気です。激しい動機、息切れ、発汗、吐き気やめまいなどのパニック発作は30分(長くても1時間)程度で治まりますが、発作が起こっているときは、自分はこのまま頭がおかしくなってしまうのではないか、死んでしまうのではないか、などと強い恐怖に襲われて苦しみます。

 

パニック発作は、反復性があります。頻度は個人差があり、1日に何度も起きる人もいれば、1週間に1回程度の割合で起こる人もいます。

そして、発作を何度も経験しているうちに、またあの苦しみが襲ってくるのではないか、人前で発作が起きたらどうしようという予期不安に苦しめられます。

自分で症状をコントロールできないという恐怖がこの疾患の大きな特徴といえるでしょう。

 

また、広場恐怖(逃げられない場所にいるという恐怖)を伴う場合も多く、エレベーターや電車、タクシーの中など容易に逃げ出すことができない場所で、突然パニック発作に襲われます。そのため外の出るのを嫌がるようになり、行動範囲や生活範囲が狭められて、うつ状態になってしまうのです。

 

パニック障害は近年増加傾向にあり、中でも女性に多い病気と言われています。

原因としては、パニック障害を発症しやすい体質(親が患者の場合、発症率が高まる)、ストレスや過労が発作の誘因となる、中枢・末梢神経の調節障害が関与している、幼い頃に親と死別または生別したなどの環境要因などが挙げられています。

 

 

10.摂食障害

思春期や青年期の女性に多く見られるのが摂食障害で、文字通り摂食することに問題が出る病気です。症状によって、神経性大食症(過食症神経症無食欲症(拒食症)に分けられます。

 

過食症は食べることをやめられなくなり、1度に大量のものを食べる行為を繰り返します。しかし、そんな自分に対する自責の念もあり、肥満になることに恐怖を覚え、絶食したり、嘔吐をしたり、下痢や浣腸を使うなどして太るのを避けようとします。こうした行動が度重なると、食道炎や歯の損傷、低カリウム血症などを起こす危険性があります。

 

拒食症は、自分は太っているという思い込みが強く、痩せていても減量を続けてしまいます。そして、無月経、低体温などになり、最悪の場合、餓死に至る危険性もあります。

 

いずれもダイエットがきっかけになって発症することが多く、性的に成熟することへの葛藤や拒否感から起こることもあります。

また、性格的には真面目で完璧主義傾向が強い女性がかかりやすく、環境面では、人間関係の問題による心理的ストレスが考えられます。

特に母親との関係が問題とされます。母親の言うことを聞いて忠実に育ったため、成長してそれに耐え切れなくなり、ダイエットをきっかけとして摂食障害となるケースや、逆に愛情に恵まれずに育った場合、その反動が自分の肉体を極度にコントロールしたい願望になったというケースもあります。

 

治療方法としては、行動療法認知療法精神分析心理療法家族療法などがありますが、何を治療目的にするか、そして摂食障害をどんな観点からとらえるかによって治療法は変わってきます。